以前ダウンタウンのチャンネルが始まるニュースが出た時に今後の展開を予想した「ダウンタウンチャンネル(仮)はうまくいくのかWEBマーケターが考えてみた」という記事を書きましたが、今回はその続編です。

前回の記事で、様々な要因を考慮して「失敗する可能性は低い」というかなり保守的な見積もりをした予想を書きましたが、失敗しないどころか一部メディアで「登録受付開始20日で登録者数50万人突破」というニュースが出ました。

前回の記事では保守的な予想を書いたので、上振れる余地を考慮せずに書きましたが、サービス開始から間もないこの時点で登録者数50万人は驚異的な数字です。

サービス開始前の告知の段階からサービスを開始した現段階で行っていたマーケティングで驚くことがいくつかあったので、今回はその驚くことと今後の懸念について書きます。

開始前の告知の段階からサービス開始後にダウンタウン+が行ったマーケティングの解説

個人的に、長らくテレビをメインにしていてWEBのプロではないこと、そして日本でトップクラスの大御所なので緩やかなマーケティングをするのではないかと予想をしていましたが、告知の段階から全力でマーケティングをするだけでなく、通常では考えられないことまでしていて、最初から初速が最大になるようにする並々ならぬ本気さを感じました。

告知の段階からきっちりとWEBマーケティングをしている

繰り返しになりますが、WEBのプロではないので、まさか告知の段階からきっちりとWEBマーケティングをするとは予想していませんでした。

  • 松本さんが自粛状態で地上波のテレビで告知できないこと
  • WEBのサービスなので、WEB上で告知するのは親和性が高いこと
  • SNSはバズると多くの人に情報を拡散できること
  • SNSで松本さんの関心が依然として高く、松本さんを求める熱心な声が多いこと

などの要因を考慮すると、SNSを活用するのはプロのWEBマーケターならセオリーだと思いますが、Xとインスタグラムで告知の段階からそれをきっちりとやっていました。

SNSで盛り上がる仕掛け

「ダウンタウンチャンネル(仮)ができる」というニュースが出てから少しして、突如Xで「なるほど、downtown_plusを逆さにしたのね」という投稿が次々出てきました。

多くの人が「どういうこと?」と疑問を持って、「downtown_plusを逆さにしたらどういう文字列になる?」と試します。

すると、Xの@snld_umotumopというアカウントが出てきて、そのアカウントの投稿から公式の@downtown_plusに辿り着くという謎解き要素を入れて、ダウンタウンチャンネル(仮)に期待している人を楽しませる仕掛けです。

こういう仕掛けは期待してる人もうれしくなってますます期待が高まりますし、正解に辿り着いた人は正解がわかったのがうれしくて言いたくなるので、正解を投稿してさらに拡散されるようになるので、WIN-WINのかなり高度な仕掛けをやっていました。

他の有料動画サービスとの提携

ダウンタウン+は、ABEMA、Amazon Prime Video、U-NEXTと提携して、3社のサービスに加入してる人に割安(通常月額1,100円のところ3社のいずれかに加入してる人は月額770円)で登録できるようにしています。

有料動画サービスに加入してる人は動画コンテンツに課金しているので、ダウンタウン+に加入してもらいやすく、かつ別のプラットフォームで配信してもらえればサーバーの負荷を軽減でき、さらに「ダウンタウン過去出演作品や生配信およびお笑い帝国大学(大喜利コミュニティ)の配信はございません」と告知して、本家ダウンタウン+との差別化までしています。

これだと、動画コンテンツに課金することに抵抗ない層を取り込めますし、それよりも割高になってしまうコアなファン層のメリットも残しています。

これのなにがすごいかというと、本来顧客を取り合うライバル関係で協業は考えられないはずで、通常なら協業を打診しません。

それなのにWIN-WINの関係の協業を打診して、協業を成功させてるのはすごいことです。

視聴者参加型で、お笑い好きの自尊心をくすぐる企画

ダウンタウン+の企画で、「お笑いの頂点へ!ここは、才能が爆発する場所、お笑い帝国大学(通称:OIU)」という企画が始まりました。

さらに「さあ、あなたも歴史に名を刻む、伝説の第一期生をめざしてみませんか?」という強烈なメッセージ付きです。

これは視聴者に「ダウンタウン+で認められた」というお墨付きを与えるお笑い好きの自尊心をくすぐる企画を開始早々に始めています。

サブスクリプション型のサービスなので、サービス登録を継続してもらうことが重要(サブスクリプション型のビジネスモデルについては、前回のダウンタウンチャンネル(仮)はうまくいくのかWEBマーケターが考えてみたをお読みください)で、課金をするのはコアなお笑い好き層が多くなるはずで、ダウンタウンさんも課金してくれる登録者を楽しませたいという気持ちも強いと思いますし、コアなお笑い好き層なら、参加したくなる企画を打ち出すのは視聴者も楽しめてビジネスモデルとしても継続したくなりますので、WIN-WINの企画だと思います。

ダウンタウン+の今後の予想と大きな懸念

ダウンタウン+の今後の予想

サービス開始間もない状態で、登録者数50万人突破。

前回の記事でも書きましたが、本来少ないはずのイノベーターとアーリーアダプターの層でこれだけの登録者数を獲得しているので、今後人数が多いアーリーマジョリティ層とラガード層が登録することを予想すると、このままいくだけでも2年後には150~200万人を突破していてもおかしくないと思っています。

さらにHEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMPで、矢沢永吉さんに「一緒にコントやりませんか?」と提案していて、それに対して矢沢永吉さんが「コントをやるならダウンタウンとやる」と言っていたので、もしもそれが実現したり、そのような伝説になる企画を定期的にやれば、登録者数はさらに跳ね上がるでしょう。

ダウンタウン+の今後の懸念

サービス開始間もない状態で、登録者数50万人突破。

これは前項の「開始前の告知の段階からサービス開始後にダウンタウン+が行ったマーケティングの解説」に書いたことだけでなく、ダウンタウンが好きなコア層の人口が多いこと

も投稿しましたが、「今までずっと当たり前のように地上波のテレビで見れていた松本人志さんが見れなくなって、唯一見ることができるのがダウンタウン+」という側面も大きいと思います。

これが、今後松本人志さんが地上波のテレビに復帰して、地上波でもどんどん松本人志さんを見れるようになると、「唯一松本人志さんを見ることができるメディア」という価値が薄れていってしまいます。

また、私自身お笑いが好きで、松本人志さんが地上波に復帰してもコンプライアンスを意識して、コアなお笑いを地上波で見ることできなくなるのと、地上波よりも自身の有料メディアの方を優先すると思いますので、今の子供達やこれから生まれる子供達がコアなお笑いを知る機会が少なくなってしまい、長期的に考えるとテレビ業界にとっても本物のお笑いは地上波では見れなくてなって、ダウンタウン+に視聴者を奪われますし、お笑い界にとってもこれからのファンに届きにくくなる双方にとって大きなデメリットになってしまっているのではないかと懸念しています。