ハルリでは、ホームページを制作したり、リニューアルする際には、『なにをするか』と『どこまでするか』を意識するようにしています。

『なにをするか』は、お問い合わせフォームの設置やスマートフォン対応などの仕様に関する部分で、『どこまでするか』は、それらをどこまでするかの程度です。
『なにをするか』はベクトル、『どこまでするか』はベクトルの長さをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。

『どこまでするか』は、もしかするとハルリ独特の考えかもしれませんが、『なにをするか』を書いているブログが多いですが、『どこまでするか』を書いているブログはあまりないので、今回はこの2つの事について書きたいと思います。

お問い合わせフォームを『どこまでするか』

WEBは数値化できない事が多く、またお客様もどこまでできるのかわからないことが多いため、具体的な例があった方がわかりやすいと思うので、まずはお問い合わせフォームを例にご説明いたします。

お問い合わせフォームは、どこの会社のホームページにも付いていて、今では必須の機能と言ってもいいと思います。
実際これまでハルリで制作させていただいた会社様のホームページも、全てお問い合わせフォームを付けさせていただきました。

お問い合わせフォームの設置のご要望があった場合、フォームを設置すれば、それで仕様を満たすことができますので、通常はこれで終わりです。
しかし、『成約を増やすために、問い合わせを増やす』ためのお問い合わせフォームなら、これだけでは終わりません。

一般的に『入力する項目を少なくすると、問い合わせの数は増える』と言われていますので、問い合わせを増やすだけならば、単純にお問い合わせフォームの項目を減らすだけで済みます。
しかし、入力する項目を少なくすれば、件数自体は増える反面、質の低いお問い合わせが増えます(お客様に対して『質』という言葉を使うのは、あまり好きではないですが、ここではわかりやすくするために、あえて『質』という言葉を使います)

例えば、入力項目を絞って、名前やメールアドレスなどの連絡先を省略して、お問い合わせの内容だけにすれば、気軽に問い合わせができる分、会社からすると冷やかしのようなお問い合わせも増える訳です。

些細な情報も集めたいという考えであれば、こちらの方がいいのですが、件数が多くなる分、情報の精査・分析に人的労力とノウハウが必要になります。
そのためのリソースがあればいいのですが、大抵の中小企業ではそこまでやってられません。

そこで、逆に必須の項目を多くすることで、あえてお問い合わせを絞るという選択肢もあります。
例えば、お問い合わせから営業をして成約をする形であれば、あえてお問い合わせに絞ることによって、営業マンがニーズの低いお客様に労力や時間を削られることがなくなり、ニーズの高いお客様に集中して営業ができるようになります。
ニーズの高いお問い合わせに絞り、そこに集中して営業をすることで、営業効率が高まり、人件費や交通費、通信費など諸々の営業コストの削減にも繋がります。

このように、どこの会社のホームページにもあるお問い合わせフォームですが、お問い合わせの後のことや会社の状況・考え・やり方によって、その会社にとってのベストなお問い合わせフォームは変わってくるのです。

ただお問い合わせフォームを設置するだけでいいのか?それとも、その会社に合ったお問い合わせフォームにするのか?
よくあるお問い合わせフォーム一つとっても、効果は変わってきます。

お問い合わせを絞る場合は、お問い合わせを増やすために、WEBマーケティングをしっかり行うこととアクセスアップの両方を行うことをおすすめいたします。

その他の『どこまでするか』

デザインを『どこまでするか』

その他にも、デザインは絵を描くのと同じで、3分で描いたデッサンと何週間も掛けて描いたデッサンのクオリティが違うのと同じように、時間を掛ければ掛けるほど良くなります。
簡単にデザインするだけでいいのか?それともしっかりとしたデザインにしたいのか?
デザインも『どこまでするか』になります。

SEO対策を『どこまでするか』

ハルリにはSEO対策に関するご相談もよく寄せられますが、ホームページを見てみると、大抵どこのホームページでもやっている程度のSEO対策しかやっていません。
検索順位はライバルよりも評価が高くなってはじめて順位が上がりますから、どこのホームページでもやっている程度のSEO対策では、なかなか順位は上がりません。
ですから、順位を上げるのなら、高度なSEO対策をしなくてはいけないのです。
そこで、SEO対策を強化すると、順位が上がってきました。
つまり、SEO対策もどこのホームページでもやっている程度のものでいいのか?それとも高度なSEO対策までするのか?
SEO対策も『どこまでするか』です。

WEBマーケティングを『どこまでするか』

WEBマーケティングも、良いWEBマーケティングをするためには、まずはその会社のことをよく知らなくてはなりませんから、ヒアリングをじっくり行い、そこからどういった戦略が効果的か?さらに様々な戦術のメリット・デメリットを考えて、どういった方法がその会社にとって最も適しているか?そして中長期的なビジョンなどなど、良い戦略を策定するためには、様々なことを考えなくてはなりません。

キャッチコピーや文章なども、どこにでもありそうなものなら、それほど時間は掛かりませんが、他社との差別化をしたり、自社の良さを理解していただけるようにとなると、どうしても時間が掛かります。
WEBマーケティングも『どこまでするか』です。

WordPressを『どこまでするか』

WordPressを使ったホームページのリニューアルをご依頼いただいた際に、まずはどのように構築しているか確認するのですが、お客様が実際に使うことを考えれば、「ここをこうしてあげると、もっと使いやすくなるのに」とか「この構築方法なら、記事を更新しても、効果が半減してしまう」というケースも多く、仕様を満たすだけで終わってしまっている(『なにをするか』は満たしていても、『どこまでするか』がない)ケースも多々あります。
同じWordpressでも、構築方法によって効果や使いやすさが大きく変わりますので、様々なことを考慮して設計をして、構築しなくてはなりません。
良い設計には十分なヒアリングと設計する時間、そしてそれを実現させるために、ただ仕様を満たすのと比べて、多くの作業が必要になります。
ただ仕様を満たすだけでいいのか?それとも使いやすさや効果など、様々なことを考慮して設計して構築するのか?
Wordpressも『どこまでするか』です。

「良いホームページ」と「安い」は両立しない

このように、『どこまでするか』と追及していくと、どんどん良いホームページになっていきます。

同じような仕様でも、大企業のホームページは、デザインやマーケティングなど様々なことにこだわり、たくさんの手間と時間が最低でも数百万円~一千万円以上、会社によっては数千万円の費用がかかっている一方、数万円~数十万円の安いホームページもあります。
安いホームペーじと大企業のホームページを比べれば、明らかにデザインが優れているのがわかりますし、プロから見てもキャッチコピー一つとってもよく作られていますし、どこの文章もしっかりしていますし、よく練られているのがわかります。
この差が『どこまでするか』です。

「良いホームページを安く」が一番良いのですが、手間と時間をかけるからこそ、良いホームページができる訳で、安ければ安いなりのホームページにしかならず、 良いホームページにするためには、どうしても手間と時間がかかるため、料金が上がります。

あとがき

ホームページ制作の競争が激しくなり、制作料金の相場が安くなっているらしいです。
その背景として、『どこまでするか』をお客様にご理解していただくためには、ある程度専門的なことをご説明しなければならず、ご理解していただくことの難しさ、そしてなにより我々制作業者の努力不足があるように思います。
それで、お客様もわかりやすい料金の安さで判断してしまい、制作する側も安易に安さを訴求し、する業者が増えたのだと思います。

制作料金が下がるのは、依頼するお客様にとっては良いことだとは思いますが、料金が下がればその分ある程度で切り上げなければならず、それによってホームページの質が下がり、最終的にお客様の当初の目的が達成されない事態を招いてしまいます。
これでは誰も幸せになりません。

おかげさまで、たくさんのご相談をいただいておりますが、「思っていたような効果を得られないので、なんとかなりませんか?」というご相談も多く寄せられます。
詳しくお話をお聞きすると、お客様が依頼した制作業者のスキル不足もありますが、かけた費用が少ないことがとても多いです。

もちろんスタートアップなど、あまり費用をかけられない場合、安いというのは良いことです。
しかし、ホームページの奥深さを伝えることを怠り、お客様に「ホームページは安く作れるもの」といった印象を与えてしまい、本来かけるべき費用をかけなくてもいいと誤解を与えてしまったホームページ制作業界全体の責任もあると思い、今回このような記事を書かせていただきました。

WEBのことがわからず、お客様が高すぎる目標設定をしてしまうケースもありますが、目標に対して、見合わない費用なら、ちゃんとした制作業者ならお断りをしますので、結局スキルのない業者に依頼せざるを得なくなり、目的が達成できず、失敗に繋がるのだと思います。
適切な業者に、適切な費用をかければ、本来うまくいくはずのものが、適切な費用を掛けなかったばかりに、無駄になってしまうのは、とてももったいないと感じます。

安いというのはとても大きな魅力だとは思いますが、安さに釣られず、本来の目標を再確認してみてはいかがでしょうか。

この記事が、貴社のホームページがより良いものになるきっかけになれば幸いです。