先日お客様と話していて、「良いホームページとはどんなホームページですか?」という質問がありました。

マーケティングの視点で見ると、良いホームページがどのようなものかわかりやすいかと思いますので、今回はマーケティングの視点を中心にして、書きたいと思います。

良いホームページは会社によって違う

ホームページの目的、マーケティング戦略、ホームページの役割、ターゲット層、業種、業界でのシェア、知名度、製品・サービスなど、様々な要素で変わってきますので、良いホームページは会社によって違います。

具体例を出した方がわかりやすいかと思いますので、幾つか例を出してご説明したいと思います。

トヨタ自動車の場合

いろいろなホームページを見てきて、良いホームページだと感じたのは、トヨタ自動車のホームページです。

トヨタは、TV、雑誌、新聞など様々な媒体で広告を出しているため、知名度が高く、「トヨタ」という会社名か自動車名のキーワードで検索されます。WEBにも力を入れていて、「トヨタ」や自動車名のキーワードでもしっかりと上位表示されているので、お客様が見つけやすいようになっています。

WEBマーケティングは、その自動車に興味がある人がアクセスします。車種別のページを見ると、写真や映像がふんだん使われていて、その自動車の魅力をとてもわかりやすく伝えていて、情報も詳しく載せています。

トップページから入ってもボディタイプ別に分かれていて、目的の車のページに辿り着きやすくなっていて、ユーザビリティもとても良いです。

次にデザインですが、一見なんの変哲もないデザインに見えると思いますが、実はここが大きなポイントです。トヨタはコトラーの競争地位戦略で分類すると「リーダー」になります。そして、トヨタが販売している自動車のラインナップを見ると、あらゆるタイプをカバーしていて、リーダーの戦略である全方位戦略を取っているのがわかります。

コトラーの競争地位戦略

全方位戦略は全ての層をカバーしなくてはいけませんので、逆に考えるとどの層も落とせない訳です。だからこそトヨタの場合、クセのないデザインが良いデザインになります。

これが、「チャレンジャー」や「ニッチャー」のポジションの会社の場合、独自性を出したり、特定の層の反応を高めるために、コンセプトやターゲット層に合ったデザインが良いデザインになります。

例えば、同じ自動車メーカーでも、マツダは「ニッチャー」のポジションで、ニッチ戦略で特定の層に強く訴えることが重要になります。ここで大切なのは取捨選択と集中です。トヨタはどの層も落とさないようにしていたのに対し、ターゲット層以外の反応を落としてでも、ターゲット層の反応を上げるということです。

マツダのホームページを見ると、「Be a driver」をコンセプトにして、走る楽しさを訴えて、マツダのこだわりも随所に表現しています。走る楽しさを求めるのは男性が多いので、色は黒を基調していて、女性の反応率は下がってしまいますが、ターゲット層である男性の反応を高めるデザインになっています。

デザインとマーケティングは一見関係がないように見えるかもしれませんが、このように理論的に考えられたデザインはマーケティングにプラスの効果を与えてくれます。

トヨタのホームページは、デザイン・コンテンツ共に細部までしっかりと作り込まれていて、一見なんの変哲もないように見えて、とても手間を掛けている良いホームページです。

知名度がない会社の場合

トヨタの場合、知名度が高く、様々な媒体に広告も出しているので、ホームページでなにかしてアクセスを集める必要はありませんが、知名度がない会社の場合は、ホームページ自体にアクセスを集める仕組みを作ると、より高い効果を得ることができます。どうやってアクセスを集めて、どうやってプロモーションするか?がWEB戦略になります。

SEO対策

SEO対策をして検索エンジンからアクセスを集める場合、知名度がなければ会社名や商品・サービス名で検索されることが少ないため、業種やカテゴリーのキーワードでのSEO対策が必要になってきます。SEO対策は上位表示しなくては効果がないため、一般的に行われているSEO対策ではなく、より高度なSEO対策をした方が効果を出しやすくなります。

商圏が限られるビジネスの場合は、業種やカテゴリーと商圏に合わせた地域名も組み合わせた複合キーワードにします(例:「税理士 札幌」「温泉宿 北海道」など)市町村単位よりも都道府県単位の方が検索される回数が多くなり、上位表示された場合にアクセス数は多くなりますが、上位表示の難易度が上がり、広すぎる商圏を設定すると成約率が落ちてしまいますので、適切な地域名を設定するようにしてください。また、都道府県・市町村の両方のキーワードで対策することも可能です。

良質なコンテンツの記事を配信してアクセスを集めるコンテンツマーケティングや記事を量産して、記事ページで多くのキーワードで上位表示させてアクセスを集めるロングテールSEO対策でアクセスを集める場合、コンテンツの質も大事ですが、記事ページに高度なSEO対策をすると、さらにアクセスを集めやすくなります。

コンテンツマーケティングやロングテールSEO対策で記事を投稿する場合は、Wordpressなどのブログ更新システムを導入すると便利です。ブログ更新システムを導入する場合、パフォーマンスの高いシステムの設計、管理画面の使いやすさ、バグに強いシステムの設計、不正ログインに対するセキュリティなども必要になってきます。特に不正ログインに対するセキュリティは企業のホームページでは重要だと思いますが、対策されていない会社様が多いので、Wordpressなどのブログ更新システムをお使いの会社様は、セキュリティをしっかりしているかどうか確認してみてください。

WEBマーケティング

WEBマーケティングは、WEBで独立したマーケティングをするのではなく、全社的なマーケティング戦略と合致したものにする必要がありますし、WEB・WEB以外に関わらず、広告を出稿している場合は、広告とメッセージとホームページのメッセージを統一し、広告を見てホームページにアクセスしてくるお客様の顧客心理も考えたWEBマーケティングを行う必要があります。

新規顧客を獲得するためのホームページの場合、ターゲット層を明確にして、ターゲット層に合ったプロモーションが必要になります。ターゲット層が明確になっていないケースもありますし、先程のマツダのように取捨選択をして、ターゲットを絞る場合は、ターゲット層に強く訴えることができるため、成約率が高くなる反面、市場を限定しますし、ターゲットを絞らないのは市場が限定されない反面、成約率が下がってしまいますので、会社の考えや商品・サービス、業界などによって、会社の判断が分かれるかと思います。どちらが良くて、どちらかが悪いという訳ではないので、どのようなWEBマーケティングを行っていくかは会社によって変わります。

文章や表現

また、ホームページの目的やターゲット層、会社の考え、会社のキャラクター性などによって、文章や表現も変わってきます。男性をターゲットにする場合は男性向けの文章や表現、女性をターゲットにする場合は女性向けの文章や表現がありますし、ターゲットとする層の所得によっても文章や表現が変わってきます。

親しみやすい会社、職人気質でこだわりの製品を作っている会社、上質なサービスを提供している会社など、会社のキャラクターによっても合う文章や表現・合わない文章や表現があります。

新規顧客獲得のためのホームページなら、営業的なアプローチも必要になります。新規顧客獲得を目的にしているのに、ただの説明で終わってしまっているケースもあります。逆に営業色が強すぎるとホームページを見た方が警戒したり、煽るようなプロモーションはクレーム率が高くなってしまいますので、バランス感覚が必要です。営業的なアプローチは社内に営業部門があれば、営業トークや営業方法が参考になります。営業部門がなければ、WEBマーケティングの専門家にご相談するのが良いかと思います。

ホームページのデザイン

良いホームページのデザインも文章や表現と同じく、ホームページの目的やターゲット層、会社の考え、会社のキャラクター性などによって変わってきます。文章や表現にも共通して言えることですが、会社に合っていること、そして適切に実行できていることが大切になります。

ターゲット層が男性なのに女性向けのデザインになっていたり、高所得者層向けで一見高級感があるデザインでも細部までしっかりと作り込まれていなければ、逆に安っぽくなってしまうこともあります。

また、先程のトヨタやマツダのように、マーケティング理論をデザインにも活かすことで、よりマーケティングに強い良いホームページにすることができます。

美容室の場合

他にも美容室の場合、ホームページから集客をするのでしたら、ヘアカタログのような仕上がりの写真をアップすることが大切になりますので、ブログ更新システムがあった方が便利です。先述の通り、ブログ更新システムを導入する場合は、使いやすさや不正ログインに対するセキュリティなども考えられたものにするのがベストです。システムの使いやすさは効率に直結しますし、使いやすいと専門の人材を配置する必要もなくなります。不正ログインされてしまうとホームページの改ざんやウイルスを仕込まれてしまうなど、お客様にご迷惑をお掛けしたり、会社の信用を失ってしまうことがあるので、不正ログインに対するセキュリティは必須です。

ヘアカタログのような仕上がりの写真をアップする場合、カテゴリー分けできるようにすると、ホームページを見る人が自分に近いヘアスタイルを探しやすくなります。またインスタグラムなどのSNSも活用すると、SNSからも集客ができるようになりますので、SNSの活用と活用方法も考えられたホームページの設計やデザインも必要になってきます。

あとがき

どのようなホームページが良いかは、会社によって変わります。そして、お客様の会社に合った良いホームページにするためには、お客様の会社のことを広く、深く知る必要があります。そのために、ホームページの制作に入る前に、しっかりとしたヒアリングが必要になります。

ビジョンなどが明確になっていない会社様も多いため、その場合はヒアリングだけでなく、コンサルティングまでハルリでは行っています。それも全て良いホームページにするためです。

今回一例を示しましたが、実際にはまだまだ多くのことを考慮して、ホームページを制作しています。

ホームページと一口に言ってもピンからキリまであって、お客様に指示された通りに作るのは簡単ですが、良いホームページを作るのは、多くの情報を組み合わせて理論的に最適解を出さなくてはいけませんので、複雑で奥が深いものです。

今回ご紹介したマーケティングは、ホームページ制作の工程では企画になります。ハルリではマーケティングを考えた企画のご提案・ホームページの制作を行うことができます。

しっかりとマーケティングが考えられたホームページにしたいと考えている会社様がいらっしゃいましましたら、ぜひお気軽にハルリにご相談ください。